ヌヴェールの観光・旅情報とガストロノミー、地元料理と ネギュス Le Négus

ヌヴェール観光の基本情報

ヌヴェール陶器

フランス中央部にあるヌヴェール(ヌベール)は、ブルゴーニュ地方4県の一つ、ニエーブルNievre県の県庁所在地。フランス最長のロワール河の畔にあり、船を利用した交易で昔から栄えていました。16世紀以降、ファイアンスFaïence陶器が大きな産業になり、現在も工房が残っています。19世紀ルルドの聖女ベルナデッタがこの地で亡くなり、その遺骸を巡礼する信者が現在も絶えません。この街を歩くと「古き良きフランス」が多数残っています。市内に興味深い文化遺産が沢山あり、しかも駅からの徒歩圏内にあるので、パリからの日帰りで十分楽しめます。


マルグリット・デュラス原作・脚本、アラン・レネ監督の映画「24時間の情事(Hiroshima mon amour)」が1958年にこのヌヴェールで撮影されました。主演はエマニュエル・リーバと岡田英次でした。ヌーベル・ヴァーグの名作映画の一つです。

ヌヴェールのマルグリット・デュラス 通り Hiroshima mon amour が刻まれている


ヌヴェール市内にあるマルグリット・デュラス通り。映画 Hiroshima mon amour がヌヴェールで撮影された説明付き。写真はWIKIPEDIAより。


観光のための基本情報

パリから電車で片道約2時間。日帰り可能です。
車では、高速道路を利用し、パリから片道2時間半~3時間です。

ヌヴェール観光局のHP

ヌヴェールの食・ガストロノミー

ヌヴェールはニエーヴル県Nièvreの県庁所在地で、行政的にはブルゴーニュ地方に属しますが、食文化的には、「ロワール&オーヴェルニュ」と「ブルゴーニュ(特にモルヴァン山地)」の混在したエリア。地理的に、ヌヴェールがニエーヴル県の西端にあり、ロワール河沿いにあるからでしょう。それはマルシェ(市場)に行くとよくわかります。季節にもよりますが、地元のシェーブル・チーズやフレッシュ・チーズの量と質に圧倒されます。同じブルゴーニュでも、ディジョンからマコン側では見られないものです。ヌヴェールはフランス料理界を代表するシェーブルチーズ:クロタン・ド・シャヴィニョール Crottin de Chavignol AOPのおひざ元なので、当然かもしれません。そして鶏肉。ブレス鶏ではなく、オーヴェルニュの鶏が並びます。

ヌヴェールの市場 Marchés couverts Carnot 
Avenue Général-de-Gaulle et rue Saint-Didier 58000 Nevers

ヌヴェール市場のチーズ

▼ ハムのソピケ Saupiquet de jambon、ヌヴェールのソピケ Saupiquet nivernais

ソピケ Saupiquetは、ヌヴェールや隣接するブルゴーニュ=モルヴァン山地の家庭料理。温製ハムとソースを絡める料理ですが、厚切りハムを焼いてソースをつけたり、耐熱皿にハムを並べソースをかけてオーブンで焼いたりと色々な調理方法があります。ソースもバター&クリームだったり、トマトを加えたりと様々。シンプルな家庭料理でレストランで出てくることは少なくなりましたが、時折お昼のメニューで見かけることがあります。

▼ ヌヴェールのクラピオー Crapiaux nivernais

Crêpiau、Crapiau、Crépiot、Crapiauxと綴りや呼び方が色々ありますが、厚みのあるクレープ=ガレットで、ベーコンやじゃがいもと一緒に焼いたシンプルな家庭料理です。りんごと一緒に焼いたデザートもあります。かつてブルゴーニュ=モルヴァン山地では大麦やそば粉が農業の柱でした。現在その栽培は殆ど消滅してしまいましたが、クラピオーはその時代の名残を残した田舎料理。「そば粉100%」「そば粉と小麦粉を混ぜたもの」「小麦粉100%」と色々なレシピがあります。
ヌヴェールに隣接したシェール県やアリエ県でも、サンシオ Sanciau という厚みのあるクレープ&ガレット料理があります。フランスでクレープ=ガレットというと、フランス西端にあるブルターニュのイメージが圧倒的に強いのですが、それ以外の地方にも伝統的な家庭料理として残っています。

▼ ヌヴェールのネギュス Le Négus de Nevers

ヌヴェールの伝統菓子にネギュスがあります。柔らかいキャラメルをチョコレートで包んだ飴。 1893年創業の Maison Grelier & Lyronによって1900~1902年につくられました。当時ここの菓子職人は毎年新作を発表していたそうです。エチオピアの君主がヌヴェールを訪問したことで、ネギュスNégus の名前がこの飴につきました。深緑色の缶に入っており、値段は結構高めです。最近は日本でも入手可能になりました。
長らく地元の家族経営でしたが、2013年にDolfi家のJC MENARD CHOCOLATERIEの傘下に入りました。この会社はパリで最も古い1730年創業のパティスリー:ストレ Stohrerをはじめ、フランス各地の伝統菓子会社を傘下に持っています。
試してみると、日本でいうなら、チョコレート風味のキャラメルをべっ甲飴で包んだ味でした。

Le Négus de Nevers
96 Rue François Mitterrand, 58000 Nevers

ヌヴェール(ヌベール)のネギュスNEGUS
フランス料理の1つ、ヌヴェール、ヌベールの飴 ル・ネギュス

▼ ヌヴェールのヌガティン Nougatine de Nevers

ネギュスと並ぶヌヴェールの伝統菓子。アーモンドのヌガーを「グラス・ロワイヤル Glace Royale(卵白、粉砂糖、柑橘類果汁)」で包んだ飴です。1850年頃 Jean-Louis Bourumeauによってつくられ、ナポレオン3世の妻ウジェニー・ド・モンティジョが、1862年にヌヴェールを来訪した際、この飴を気に入った逸話があります。彼女はパリに戻ってもこのヌガティンを取り寄せたことから、「女王陛下のヌガティン」となり、パリでも有名になりました。この1850年創業の菓子屋 Maison Fontenayを2007年にJean-Hugues Desenneが買収し、現在に至ります。ここのヌガティンはヌヴェールのあちこちで購入ができます。

ヌヴェールのヌガティン

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