からしやマスタードは古くから造られてきた商品で、日本でも様々な名称で販売されてきました。まとめるのはなかなか難しいのですが、ここでは3つのに分類しました。
和辛子、和からし
オリエンタル・マスタード種子の「粉末」が原料です。粉末のままの商品か、水や塩を加えて、ねりからしにします。通常、酢やワインヴィネガー、クエン酸は入っていません。
洋辛子、洋からし
ホワイト・マスタード種子の「粉末」が原料です。粉末のままの商品か、水や塩を加えて、ねりからしにします。通常、酢やワインヴィネガー、クエン酸は入っていません。
マスタード
ホワイトかブラウンのマスタード種子をすり潰し、水や塩だけでなく、酢やワインヴィネガー、クエン酸を加えてつくります。マスタード種子の粉末だけの商品は殆どありません。
この3つの違いは、原材料の種子の種類が異なること、製造段階で酢やワインヴィネガー、クエン酸を加えるか否かです。和からしに 酢やワインヴィネガーを加えて、マスタード風の調味料をつくることもできます。
味わいの違いですが、和からしは強く刺すような辛味と、鼻にツンと抜ける香りがあります。洋からしは和からしに比べると優しい辛味。これは原材料のホワイト・マスタード種子の性質によるものです。マスタードは和からしのようなツンと抜ける香りがありません。さらに、酢やヴィネガーの酸度が加わっているので、爽やかでさっぱりした味わいになります。
日本では、和からしと洋からしを混ぜたチューブの練りからしがあります。S&B食品では「本からし」、ハウス食品では「からし」として売られています。両社とも「和からし」のねりがらしを販売しているので、スーパー等の店頭で、S&B食品の「和からし」と「本からし」、またはハウス食品の「和からし」と「からし」の2種類並んでいることがあります。非常に紛らわしいですが、「和」からし以外は「洋」からしが入っていると考えるしかありません。
これは最も基本となる定義です。実際はこれ以外のものが加えられます。日本で一般に流通しているチューブ入りの和がらしは植物油脂や増粘剤を加えて辛味を安定させています。フランス、ドイツ、アメリカのマスタードには、砂糖を加えたものや、ターメリック等の色素や香料を加えたもの等があります。各国の料理や食文化と大きく結びついています。