
アスパラ・ソバージュをご存知でしょうか。
フランスの、春のマルシェの人気者は、なんといってもホワイトアスパラ。季節になるとマルシェには、いろいろな産地のホワイトアスパラが並び、壮観です。日本と違ってグリーンアスパラは少数派で、人気の点からホワイトアスパラには遠く及びません。このホワイトアスパラ、グリーンアスパラよりも旬が短く、貴重な存在なのが、アスパラ・ソバ―ジュです。
アスパラ・ソバージュとは
フランスでは、アスパラ・ソバージュには、さまざまな名前があります。
アスペルジュ・ソヴァージュ asperge sauvage (野生のアスパラガス)
アスペルジュ・デ・ボワ asperge des bois (森のアスパラガス)
アスペルジェット aspergette
オル二トガル・デ・ピレネー Ornithogale des Pyrénées
オル二トガル Ornithogales
アスパラと呼ばれていて、形も似ているのでアスパラガスの一種のように思われがちですが、実はアスパラガスとは別のグループです。両方ともキジカクシ科(近年ユリ科から移動)ではありますが、アスパラガスはアスパラ属、アスパラ・ソバージュはオオアマナ属に分類される多年草です。学名はオルニトガルム・ピレナイクム ornithogalum pyrenaicumです。

薄い緑の茎は、にんにくの芽を細くした感じで、その先に、つくしんぼのようなかわいらしい穂がついています。
アスパラ・ソバージュの採れる場所

アスパラ・ソバ―ジュは、フランスの森や野原などの日があまりあたらない、湿った場所に群生しています。フランスで売られているものは、自生しているアスパラ・ソバージュを摘んだものです。葉は、ニラにそっくりです。若いうちはやわらかく、成長するに従い、固くなってきます。摘む時は、穂がしまり、開いていないものを選びます。旬が短い為、市場に出回る時期はとても短く、扱うお店は限られています。希少価値があり、フランス料理を引き立てるアスパラ・ソバージュ。季節の食材にこだわる高級レストランで、好んで使われています。
料理方法と保存方法

味は上品でさわやか、火を加えると、オクラのような、軽い粘りが出ます。しゃきっとした歯ごたえが魅力なので、塩を加え約2分さっと茹でたり、軽くソテ―するなど、火を入れすぎないことがポイント。サラダに加えたり、オムレツに入れたり、スープの彩りにしたり。下処理いらずで、何とでも合わせられるオールマイティーなアスパラ・ソバージュ、とても便利です。乾燥を嫌うので、新聞紙などに包み、ビニール袋に入れて保存してください。冷蔵庫で、2~3週間保存が可能です。
日本では、山形県の佐藤吉徳さんがビニールハウスで栽培されたものが、ごく少量出回っています。栽培は、とても難しいようです。一般に出回っているのは、フランスからの空輸品です。見かけたら、ぜひ一度お試しください。


