世界最優秀パティシエ、ニーナ メタイエ Nina Metayer

ニーナメタイエ NIna Metayerが菓子を持っている
画像引用:Nina Metayer

ニーナメタイエ は、1988年生まれのフランス人女性パティシエ(菓子職人)。 2023年10月「世界最優秀パティシエ」に選ばれた彼女は、自らの名前を冠したパティスリー、ニーナ・メタイエ Nina Métayerのシェフ パティシエとしてパリを中心に活躍しています。彼女は、以前にも、多数の賞を受賞している実力派のパティシエです。2016年フランス料理雑誌 ル・シェフ Le Chef、2017年フランスのレストランガイドブック、ゴ エ ミヨ Gault et Millauで、その年の最優秀パティシエに選ばれています。その後、人気テレビ番組「ル メイユール パティシエ Le Meilleur Pâtissier」に審査員として出演、注目を集めていました。

ニーナメタイエの菓子、ピンク色のハイビスカスをイメージした洋ナシの花の菓子 La Fleur poire hibiscus
画像引用:Nina Metayer

ニーナ・メタイエの経歴

フランスのラロシェルで生まれたニーナメタイエは、幼少時を大西洋岸に近いシャラント・マリティム地方で過ごします。幼い頃の彼女は、お菓子に興味があったわけではなく、食事の後には、デザートではなく、チーズを食べていたそうです。16歳の頃、単身で1年間メキシコで過ごし、そこで美味しいパン・菓子や職人達に出会ったことが彼女の人生を変えました。フランス帰国後、パンのCAP資格を取り、パン職人の道を志します。しかし、パン職人の世界は男社会、最初の挫折を味わいます。

6ヶ月のオーストラリア留学を経て、料理学校フェランディ Ferrandi に入学。パティシエのCAP資格を取り、パリ最高級ホテル・パラスの1つで、ミシュラン3つ星のル ムーリス Le Meuriceで働き始めます。2011年のことでした。当時、総料理長ヤニック アレノ Yannick Alléno、シェフ・パティシエはカミーユ ルセック Camille Lesecqの時代です。ここから彼女はトップ・パティシエへの階段を駆け上がります。2013年からアマンディン シェニョ Amandine Chaignotのレストラン、2015年からはジャンフランソワ ピエジュ Jean-François Piègeのレストランでシェフパティシエとして働いた後、2019年に独立し、Nina Metayer を起業。コンサルタント業にも進出。2020年にはネット受注販売のみのオンラインショップ「デリカティスリー Délicatisserie」をオープン、2021年にはパリの有名百貨店 プランタンPrintemps に自分の店舗を持つまでとなりました。

ニーナメタイエ Nina Metayer のいちごとクリームの菓子
画像引用:Nina Metayer

これまでに、日本にも店舗がある冷凍食品チェーン、ピカール Picardのガレットデロワやブッシュドノエル、フランス国鉄TGVの食堂車メニューを監修してきました。2023~2024年は、フランス全土に店を持つスーパーマーケット、モノプリMonoprixのガレットデロワを監修しています。それだけではありません。彼女は異業種とのコラボレーションも行っています。有名な自動車メーカー、ポルシェ Porscheや、スイスの高級腕時計メーカー、ジャガールクルト Jaeger-LeCoultreがそのパートナーです。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。

ニーナ・メタイエのケーキや菓子の特徴

ニーナメタイエのつくる菓子の特徴の1つは、洗練された外観の美しさでしょう。ここは各パティシエ達のセンスの見せ所ですが、彼女のケーキや菓子は見る者達の想像力を掻き立て、非日常な世界を見事に演出しています。また、フード3Dプリンターを使うことにより今までにないような斬新、かつ繊細な形のケーキを作り出しています。

3Dフードプリンターをつかったニーナメタイエの美しい立体的なケーキ 菓子
画像引用:Nina Metayer

「ふわっと軽やかな味わいにする為、砂糖は控えめにしています」と明言しているように、ニーナメタイエのケーキはかなり糖分控えめで、上品な味わいです。濃厚で甘さがしっかりのフランス伝統菓子が多い中、当然、この辺りは賛否両論で、「軽すぎ!」「薄い!」「クリームに味がない!」という批判がネットにも出ています。案外、フランスの菓子が甘過ぎて苦手という日本人の方達に、受けるかもしれません。

ニーナメタイエのガレットデロワ Galette des rois。飛ぶ鳥の紋様が菓子の表面に描かれている
画像引用:Nina Metayer

写真:鳥が描かれたニーナメタイエのガレットデロワと王冠

ニーナ・メタイエのケーキ試食コメント

ピスタッシュ・ピスタッシュ Pistache Pistache !
ピスタチオのムース、ピスタチオのクリーム、ピスタチオのプラリネ、とプラリネ尽くしのこのケーキ。濃厚なのでは?と思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。アクセントとしてトンカ豆が加えられたピスタチオクリームからは、磯の香りとさくらの葉の心地よい香りが感じられました。土台部分は雑穀milletで、雷おこしを思い起こさせる独特なテクスチャアに感じられまます。全体に口どけがよく、とても上品にまとめられています。

ニーナメタイエ Nina Metayerのピスタッシュのケーキ 菓子
画像引用:Nina Metayer

パヴロヴァ エキゾチック Pavlova exotique 
こんな軽やかなメレンゲは、今まで食べたことがありません。爽やかな香りと共に、口の中でふわりと溶けていくこの食感。そう、日本のラムネ菓子を思い起こさせました。とても繊細なメレンゲです。中に入っているのはマンゴーとパッションフルーツのコンポート。トッピングのホワイトチョコレートのツノの様な飾りは、「パヴロヴァ (ロシア バレエダンサー、アンナ・パヴロワ 1881-1931年から命名)」のダンスの動きを表しているそうです。
パヴロヴァ(パヴロワ、パヴロバ、パブロヴァ、パブロバ、パブロワと表記多数)という菓子は、20世紀前半、オーストラリア & ニュージーランドが起源。フランスではあまり見かけませんが、オーストラリアに留学していたニーナ・メタイエのスペシャリテの1つとなっています。

ニーナメタイエ NIna Metayer の菓子パヴロヴァ、パブロバ エキゾチック

最後に

彼女は現代のパティシエらしく、環境問題にも敏感です。包装にはプラスチックを使わず、果物の皮や種はシロップやクーリに二次利用するなどしています。

ニーナ・メタイエがチョコレート菓子を持っている
画像引用:Nina Metayer

フランスのパティシエは朝が早く、彼女も毎朝4時に働き始めます。「3才と6才の娘を持つ母親で、シェフパティシエとして会社を持つなんて絶対無理! と多くの人から言われたけれど、世界一になり、それらの両立を認められたことが何よりうれしい。」と笑顔で話していました。お菓子づくりの技術だけでなく、彼女のチャーミングな笑顔がまわりを明るくし、皆を魅了していることは間違いありません。ニナ・メタイエが何より大事にしているのは、自分と家族が幸せであるということ。そして、パンもお菓子も、皆と一緒に楽しみを分かち合えるという点が好きとのこと。常に笑顔でポジティブ、明るい彼女のこれからが、とても楽しみです。

ニーナメタイエのお菓子の入手方法

現在、彼女のお菓子を入手する方法は以下の通りです。いくつかの店舗があります。
https://delicatisserie.com/

パリ Paris

プランタン・デュ・グー Printemps du Goût、
プランタン・オム 8階 Printemps Homme, 8ème étage
Printemps Haussmann, 64 boulevard Haussmann 75009 Paris
(月)~(土) 10~20時 (日)11~20時
●注意 このパリ・プランタンの建物は複数の塔で構成されており、登るエレベーターを間違えると、8階まで登っても飲食関連ではない場所に行ってしまいます。必ずプランタン・オム Printemps Hommeのエレベーター&エスカレーターをお選びください。

パリ郊外、イッシー・レ・ムリノ- Issy les Moulineaux

●Halles d’Issy BiltokiにあるデリカティスリーDelicatisserie
1 Rue Rouget de Lisle, 92130 Issy-les-Moulineaux
(月)~(土)11~16時 (日)10~15時

●アトリエ Delicatisserie
1 Chemin des Montquartiers, Bâtiment B 92130 Issy-les-Moulineaux
(月)~(金) 8~16時 (日) 8~11時半

営業時間等のデータは2024年2月のデータです。
彼女のお菓子は人気が高く、遅い時間には売切れになっていることが多いです。ご注意ください。

★注意 世界最優秀パティシエとは?

彼女が今回受賞した「世界最優秀パティシエ  (World Confectioner 2023, Pâtissière mondiale 2023 )」は、国際パン職人・パティシェ連合(UIBC: Union Internationale des Boulangers et Pâtissiers )が選出します。2年に1回フランス リヨンで行われるパティスリー世界大会 Coupe du monde de la pâtisserieのような、コンクール会場で製菓技術を争うものではありません。

UIBC
Union Internationale des Boulangers et Pâtissiers
International Union of Bakers and Confectioners
上記HPのUIBC AWARDSに歴代の受賞者が出ています。

上記以外にもイギリスの雑誌Restaurant が主催する「世界最優秀シェフ パティシエ The World’s Best Pastry Chef ( Le meilleur Chef pâtissier du monde ) 」が有名です。

イギリスの雑誌Restaurant が主催する2018年世界最優秀シェフ パティシエ となったセドリック・グロレと、今回のニーナ・メタイエは、同じ時期に、パリ最高級ホテル・パラスの1つ、ル ムーリス Le Meurice のパティスリー部門で働いています。2011年から2013年頃の話です。2名の世界最優秀パティシエを輩出したル ムーリスは、トップ・パティシエ達の登竜門になっています。

情報ソース :  
Ninametayer.com
FranceCulture
Thuries
Le Point
Le Monde
Wikipedia

2024年2月記

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