格付けボルドー最大面積を持つ シャトー・ラトゥールカルネ がさらに畑を拡張 

シャトー・ラトゥールカルネの入り口
画像引用:wikipedia

「2022年1月、ボルドーのベルナール マグレがオーメドックの2シャトー計45haを買収。まだ確定していないが、ベルナール・マグレが既に所有する同じオーメドックの格付け4級、シャトー ラトゥールカルネに吸収される可能性があるという。シャトー ラトゥールカルネは既にボルドー格付けシャトー最大の栽培面積:約180haのブドウ畑を所有。今回の買収で約225haのブドウ畑を持つ巨大なシャトーになるかもしれない。」 SOURCE:TERRE ET VINS

ボルドーの1855年の格付けはシャトー名という商標に対してであり、ブドウ畑に対して格付けされたものではない。例えば、ブルゴーニュのグランクリュであるロマネコンティのブドウ畑を拡張することはできないが、ボルドーのシャトー ラフィット ロートシルトのブドウ畑を拡張することは何の問題もない。これはボルドーとブルゴーニュの根本的なシステムの違いだ。

シャトー・ラトゥールカルネ2006

シャトー・ラトゥールカルネは、61あるボルドー格付けシャトーの中で、それほど大きな栽培面積を持っていなかった。1990年代、シャトーの所有面積は約126ha。その内ブドウ畑は約45haだった。同時期、シャトー・タルボ、シャトー・ラグランジュは100ha以上のブドウ畑を所有しており、シャトー・ラトゥールカルネはその半分以下。当然レストランやワイン屋で見かける機会は少なかった。その後1999年、シャトー・ラトゥールカルネはベルナール・マグレによって買収され、設備を一新。大幅に品質を上げている。また、シャトー内でブドウ畑の新植を行い、栽培面積を増やしている。

注目すべきは2018年以降のニュースだ。

- 2018年、ベルナール・マグレは新たにオーメドックのブドウ畑45haを購入。シャトー・ラトゥールカルネのブドウ畑は合計119haになった。

- 同年、ベルナール・マグレはオーメドックのシャトー・リュージャン Château Lieujeanを買収。さらにブドウ畑54haが加わり、 シャトー・ラトゥールカルネの栽培面積は約180haになった。シャトー・リュージャンのワインは消滅している。

- 2022年、ベルナール・マグレはオーメドックのシャトー・カロンヌサントジェムChâteau Caronne-Sainte-Gemme (38ha)とシャトー・ラベ Château Labat(7ha)を買収。近隣にあるシャトー・ラトゥールカルネにこの45haのブドウ畑が加わる可能性があり、最大約225haの栽培面積になるかもしれない。これが今回のニュース。

ニュースソース間で発表数字の端数が合わないのだが、要するに、1999年に45haだったブドウ畑が2018年に180haになった。これが2022年には225haになる可能性があるということだ。1855年のボルドー格付けがなされて以降、これだけ短期間に栽培面積を増やしたシャトーはない。もちろん、増えた面積の大部分はセカンド・ワイン向けであり、ファースト・ワインの品質を落とすことはしていないようだ。但し、今後ファースト・ワインの香味が少しづつ変わっていく可能性は十分にあると思う。新しい畑がこれだけ増えればだ。

ボルドーの格付けシャトーの中では、日本のサントリーが所有するシャトー・ラグランジュがサン・ジュリアン118ヘクタール、オー・メドック25ヘクタールの計143ヘクタール。シャトー・ラスコンブがマルゴー120haとオーメドック10haの計130ha。シャトー・タルボがサンジュリアンに約110ha。この3シャトーが大きかったが、シャトー・ラトゥールカルネは2018年にこれらのシャトーを一気に追い抜いている。

ベルナール・マグレは、格付け4級のシャトー・ラトゥールカルネだけでなく、ぺサック・レオニャンのシャトー・パプクレマン、サンテミリオンのシャトー・フォンブロージュ、ソーテルヌのクロ・オ・ペイラゲイ等多数のワイナリーを世界中に所有している。

今回のニュースは確定情報ではない。続報を待ちたい。ハッキリしていることは、これから先あちこちでシャトー・ラ・トゥール・カルネのセカンドワインを見かけることになるということだろう。


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