アルザスGCランゲンのブドウ畑をマルセル ダイスやトラペらが買収

フランス、アルザス地方の南端、タン Thannの町にあるグランクリュ、ランゲン Rangen のブドウ畑約4haが3つのワイナリーによって買収された。その3つのワイナリーとは、ドメーヌ マルセル ダイス Domaine Marcel Deiss、ドメーヌ トラペ Domaine Trapet、シャトー オルヴィレールChâteau Ollwiller 。 2025年1月に売買契約が結ばれた。

アルザス グランクリュ ランゲン Alsace Grand Cru Rangen の急傾斜のブドウ畑中腹部に礼拝堂が見える
ランゲンのブドウ畑

アルザスにある51のグランクリュ畑の最南端がランゲンRangen。最大60度超える急傾斜のブドウ畑で、畑仕事は困難を極める。土壌は火山性で、他のアルザス・グランクリュとは大きく異なっているからか、ここのワインは、他のアルザスワインとは明瞭に異なった独特の香味のワインとなる。リースリング、ピノグリ、ゲベルツトラミネールの3品種が植わっているが、「品種の香味よりも、テロワールの香味の方が圧倒的に強い。」と、アルザスの生産者達が認める特別な畑だ。このランゲンのブドウ畑は22.13haあり、次の3生産者が大きい。それぞれ約5haを所有していた。

  • ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトDomaine Zind-Humbrecht 、クロサントュルバン Clos Saint Urbain 名を併記。
  • ドメーヌ・ショフィット Domaine Schoffit、クロサンテオバルド Clos Saint-Théobald 名を併記。
  • ウォルフベルジェ (ウルフベルジェ)Wolfberger

今回の売却で、ウォルフベルジェ Wolfbergerは0.5haの畑を維持するものの、残り4ha分を手放した。

wolfberger Grand Cru Rangen ウルフベルジェ ウォルフベルジェのランゲン グランクリュの畑にある標識
ランゲンの畑にあるウォルフベルジェの看板

ウォルフベルジェ Wolfbergerは、Orschwihr村にある協同組合。1000ha以上のブドウ畑を所有するアルザス最大級の生産者。ランゲンのブドウ畑は30年来、組合員であるHervé Schwendenmannが耕作してきたが、彼の引退時に厳しい傾斜面の畑仕事を引き継げる人がおらず、無念の畑売却となったようだ。2024年、ウォルフベルジェ は経営危機が表面化。それも今回の決定に繋がったようだ。

買収する3ワイナリーは、それぞれ約1.27haづつブドウ畑をビオディナミで耕作し、ワインを生産する。それ以外に、約0.24haのブドウ畑は、「コレクション」となるようだ。アルザスのクラシックなブドウ品種だけでなく、消滅した古いアルザス品種、南仏品種のグルナッシュブラン、サンソーが試されるようだ。ジャンミッシェル ダイスが関わっているので、1つの区画に複数の品種を混植する計画もある。3ワイナリーとも、ランゲンのブドウ畑でワインを生産した経験がなく、「ランゲンの特別なテロワールを学び、この場所にあう品種を探していく。」と語る。この0,24haのブドウ畑からのワインはチャリティー用として販売される計画もある。

3つのアルザスのワイナリーについて簡単に説明しておく。

ドメーヌ・マルセル・ダイス Domaine Marcel Deissは、アルザスの著名なワイナリー。ジャンミッシェル ダイスとマチュー ダイスによって生産されるワインは、その品質で、世界的に高い評価を受けている。

ドメーヌ・トラペ Domaine Trapet はブルゴーニュ、ジュブレシャンベルタンのワイナリー。当主ジャンルイ トラペの妻アンドレがアルザス出身で、アルザスにドメーヌを入手した。彼は2人の息子がおり、アルザスの方はピエール・トラペが仕切る。現在約15haの規模で、評価を高めているワイナリーだ。

トマ マック Thomas Mackが2020年に買収した シャトーオルヴィレール Château Ollwillerは、上記2ワイナリーに比べて知られていない。Wuenheim村に12世紀から続く壮麗なシャトーを持ち、現在27haのブドウ畑から、リースリングとクレマンダルザスを生産している。2020年の買収後、シャンパーニュのボランジェで12年間シェフドカーブを務めたマチュー コフマンMathieu Kauffmannが責任者として着任。品質向上を目指している。

最後に、ランゲンの畑からワインを生産している他の生産者をあげておく。

Bruno Hertz、Eguisheim村

Château d’Orschwihr、Orschwihr村

Domaine Maurice Schoech、Ammerschwihr村

Domaine Schnebelen、Thann

参考資料
RVF
DNA
Figaro
Caviste & Co

2025年2月記

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